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Meister interview vol.22 〜 LOFTMAN COOP UMEDA 澤村 豪さん〜

革靴、皮革製品、靴磨きやファッションなどに精通しているプロフェッショナルな方々を、
M.MOWBRAY認定のシューケアマイスターがインタビュー。

お仕事の内容、こだわりや人となりについてご紹介する企画です。

今回は、多くのファンが集う大阪のセレクトショップ「LOFTMAN COOP UMEDA」にて、
商品企画や販売を手掛けている、澤村 豪(さわむら ごう)さんにお話を伺いました。

LOFTMAN COOP 澤村 豪|30代

高校生の頃に出会ったデニム販売のアルバイトをきっかけに、アパレル業界へ。

株式会社LOFTMAN COMPANYに入社後は、販売員の枠にとらわれず ” 別注 ” のアイテムを手掛けるように。自身のキャリアから出た「欲しい」を具現化した商品は人気を博し、多くのファンを魅了する。






|きっかけは近所のジーパン屋さん

この業界入って初めての仕事は、高校生の頃にはじめたジーパン屋さんでのアルバイトです。
色々なメーカーさんの商品を取り扱ってる、量販店タイプのお店でした。

バイトの動機は「ジーパンが好き」くらいのものでしたが、
「この値段でどうやって作ってるのか」とか、「なんでこの品番が付いてるのか」とか、
働いていくうちにだんだん気になることが増えだして。

ありがたいことに、当時の店長にはとても良くしてもらってたので、気になることは沢山聞けましたし、エラい人だけが行くような製品の説明会にも連れてってもらいました(笑)

そこで4年くらい働いたあと、その店長が退職するのをきっかけに、大手のデニムブランドに転職しました。
前のお店とは違い、今度は一つのブランドを深堀りできたので、また違う経験ができて良かったなと。

現職であるロフトマンに転職したきっかけ

「お客様への提案が幅の狭いものになってしまう」のが転職のきっかけでした。

一つのブランドを深堀りできるのは楽しいんですけど、その分の難しさもあります。
たとえば「お買い上げいただいたジーパンに合いそうなシャツ」を思いついても、
そのシャツが他のブランドのものだったら、それはお客様にはお伝えしづらかったです。

だからこそ、次第に「自分が信頼しているブランドのアイテムを組み合わせて、お客様への提案の幅を広げたい」と思うようになっていきました。
そんなことがあって、色々なブランドの製品をセレクトして勧められるロフトマンに応募し、運良く拾ってもらえました。

革靴に魅了された転職後

こっち(LOFTMAN)に来てから、だんだんと革靴にもハマってきて。
入社前も履いてましたけど、当時は「ジーパンをかっこよく履けるようになる靴」くらいの認識でした。

ただ、「お手入れ」についての正しい方法を知ったり、
沢山の種類のブランドと出会う中で、革靴の面白さに目覚めていったんです。

もともと、洗濯方法を間違えてしまって初めて買ったジーパンをダメにして以来、
「良いものを長く使うためにはなんでもお手入れ」っていう風に思ってたので、
手入れで表情が変わったり、長く履けるようになる革靴にも、自然とのめり込んでいったような気がします。

ロフトマンに入って携わった商品企画

ロフトマンに入ってから変わったことと言えば、商品企画に携われたことですかね。

普通は「商品を企画する部署」と「商品を販売する部署」って別れてるところが多いですし、
現場のスタッフが別注(※)の企画をやるのは、ロフトマンが持つ強みの一つだと思います。

「お客様からの声」「商品を販売する自身の考え」が企画の源泉になっているので、
そのブランドファンなら多くの方が感じているであろう「あとすこし、良くなってほしい」みたいな部分に刺さるんですよね。

※別注:ブランドが通常は展開していないアイテムを店舗独自の仕様で企画・注文すること。

「まずは自分で試してみる」スタイル

ジーパンでも革靴でも、お客様に薦める前に「まず自分で手に入れて、使ってみて、試す」というのは、ずっと変わりません。

モノとして欲しいってのもあるんですけど、それ以上に「履いて試した経験」を買ってる感覚というか。

「買った直後、使う前」の情報はたくさん出てくるのに、
「買って、使ってみた後」の情報は圧倒的にすくないですよね。

「使ってみて、どう思ったか」という個人からしか出ない情報にこそ価値があると感じます。

だからこそ、ネットでも商品が買える今、店舗に足を運んでくださったお客様に対して、
自身が感じた「経験談」をお伝えするのは、販売員の大切な役割だと思います。
サイズ感で失敗したこととか、何ヶ月履き込んだらイイ味が出たとか、個々の情報はお客様も気になるところなのかなと。

自分で手を動かし、試すことも

別注の繋がりでいうと、商品を自分で買ってみて試すだけじゃなくて、
「この商品、ここはこのパーツだったらいいな」って思うものは、自分で手を動かしてカスタムするのもしょっちゅうですね。

ベルトの生地を丈夫なものに付け替えたり、修理屋さんに頼んで靴底の素材を変えてもらったり。

「自分で試してみたカスタムが別注の卵となり、後に商品化」なんてことは、よくあります。

澤村さん自身がカスタムを依頼した一足。
左の通常モデルに比べ、右は厚みのあるソールに換装されており、
クッション性や靴としてのボリュームが増している。

実際に手掛けた別注品

たとえばこれ(画像左)とかですかね。
Tricker’sのショートモンキーというモデルに別注をかけました。

普段はあまり採用されないVibramの「ガムライト」というソールが付いてます。
足馴染み、履きやすさは抜群ですし、靴自体もめちゃくちゃ軽いので、スニーカー感覚で履けます。
ただ、お手入れも楽しめますし、Tricker’sらしい品もあるので、カジュアルになりすぎなくてちょうど良いんですよね。

Aldenのコードバン(画像右)も人気ですね。

最近は「紐や縫い合わせる部分ををなるべく減らす」っていうのを意識して作ってて。
縫い目のすくない靴って、革も大きくて見栄えのするものが必要なんですけど、
やっぱりそういう贅沢な仕様のほうが、コードバンじゃなきゃ味わえない ” シワ ” をさらに楽しんでもらえるので。


商品を企画する中で心がけていること

当然 ” 王道の商品とバランス良く ” が前提になりますが、
お客様が「なんだこの組み合わせ?」って思うような、意表を突く別注を生み出したいですね。

「お客様が欲してるものを並べて売っている」だけなら、店舗を構えている意味も、そこに販売員が立っている意味も薄くなってしまう。クサい言い方ですけど「お客様の世界を、自分の提案で広げる」というのは、店舗を構えているところの使命だと思っています。

澤村さんの思う「服としての本質」

僕が業界に入った15,6年前に比べると、SNSを中心に、洋服や靴に関する情報が多くの場所で発信されています。
ただ一方で「どうやっていいねを獲得するか」「いかにクリックさせるか」「再生回数を稼げる服はなにか」みたいな勝負になってきてるなぁとも感じてて。

それはそれで、ビジネスとして正しいのかもしれないです。
しかし、素材とか、歴史とか、手入れとか、作る上での難しさとか、
服や靴の本質とか、面白さというのは別の場所にあると考えています。

別注にしても接客にしても、お客様の想定を超える提案で、
その方の世界が広がってくれたら、これは本当に販売員冥利に尽きますね。









インタビュー内容は以上です。

服、革靴に対して造詣が深く、気さくな澤村さん。
15年以上のキャリアからこぼれ出たカスタムや別注の裏話など、
泣く泣くカットした部分にも興味深い話がたくさんあり、時間を忘れてしまうほどでした。

2021.12.11(土)|12(日)の2日間は、
LOFTMAN様と、M.MOWBRAYの運営を手掛ける株式会社R&Dのコラボレーションイベントが開催されます。

記事を読んで「もっと話を聞いてみたい」と感じた方は、ぜひ店頭まで足をお運びください。

次回のインタビューもお楽しみに。








LOFTMAN COOP UMEDA

〒530-0013
大阪府大阪市北区茶屋町15-22 アーバンテラス茶屋町B-1,C-2

・TEL (1F):06-6371-5881
・TEL (2F):06-6371-5988
・営業時間:11:00 ~20:00

・ホームページ:https://loftman.co.jp/coop_umeda
・LOFTMAN COMPANY Instagram:@loftmancompany
・LOFTMAN COOP UMEDA Instagram:@loftmancoop_umeda



|R&D Shoe Care Workshop

・日程:2021.12.11(土)|12(日)
・場所:LOFTMAN COOP 梅田1F
(※イベント詳細に関しては こちら からご覧いただけます。)




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