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【カスタムの奥義に迫る】ビルド担当鈴木悠馬氏インタビュー 後編

皆さまこんにちは。

銀座工房のはたのです。

現在開催中の「ワークスタイルコレクション」

リソール、ビルドを担当した鈴木悠馬氏のインタビュー記事 後編を紹介します。

 

前編はこちら↓↓↓

【カスタムの奥義に迫る】ビルド担当鈴木悠馬氏インタビュー 前編

 

ブーツのカスタムリソールのこだわり

羽田野:ブーツの醍醐味はリソールだと考えています。同じ仕様でリソールも出来ますし、表情を変えることもできるのは長年連れ添う相棒の変化時期です。リソール、カスタムの時の注意点などはありますか?

 

悠馬:最も大切なことは、コンセプトをしっかり決めることです。

どんなシーンで、どんなファッションで、どんな気持ちで、そのブーツを履いていきたいのか。数多あるカスタム選択肢の中で矛盾する仕様や相反する要素を組み込んでしまうと、機能が破綻したりスタイルがチグハグになったりします。

 

羽田野:確かにありますね、かっこいいかなと思ってカスタムしたものの履きにくかったり、どこかフィールが合わない感じ。やっぱりバランスが大切なんですね。

 

悠馬:はい。それらをふまえた上で、時には古いディテールを再現してみたり、時にはドレスシューズの意匠を融合してみたり。昔からあるスタイルだからこそカスタムのエッセンスが乗っかるとパンチが効いたスタイルに化けやすいんです。

 

個人で仕入れた道具の数々

羽田野:やっぱり気になるのは、リペアで使用している道具ですね。見たことのない鏝(コテ)なども多いですが、個人の物ですか?

 


悠馬:大きな機械や汎用的な道具以外は自前で用意しています。

道具屋さんで購入してから、職工おのおので加工するのが当たり前なので。スタッフ間でも共用することは少ないです。

 


羽田野:自前で加工するんですね。どうりで同じものでも違った仕上がりになるんですね。道具はどこで仕入れてますか?

 


悠馬:道具の大半は浅草界隈のものです。モノにもよりますが国産の道具は割と評判がよくて。特にヤスリや刃物類なんかはスペインやイギリスのコブラーも買いにくるそうですよ。

ただ、最近は道具屋さんの数が減ってしまい良い道具がどんどん消えていってます。みんな中古の道具を一生懸命探してきては直して使い、先輩のおさがりを受け継いで大事に使っている仲間もいます。

 


羽田野:さすがものつくり大国の日本。しかし、靴作りと言えば海外ですが、道具も輸入したりするんですか?

 


悠馬:最近はロシアやウクライナと言った東欧圏が熱いです!

かの地はいまだに手工靴文化が残っていて、道具屋さんも次々に道具を生産しています。しかも現代のコンピューター加工をベースにしてるので精度も非常に高いです。聞けば「日本はめっちゃお得意様だよ!」とのことらしく、日本靴文化の一端を裏で支えてくれていたりするんです。


修理に対する想い

羽田野:最後になりますが、リソール、カスタム、すべてまとめて靴修理ですが、それらを作業する際気を付けていることはありますか?

 


悠馬:一番はお客様からのヒアリングです。

どんなにいい仕事をしても、使い手の要望を満たしてこその道具(靴)です。

ただし、明確なビジョンがあるお客様ばかりではないので、そんな時は個人的な経験談や大事にしているポイントなんかをお伝えして参考になるよう努めています。

また、細かな作業を丁寧に処理することを心掛けています。劣化した中物の除去であったり、使用するパーツは新しいものにするのか、それとも補強して再利用するのか。例を挙げればきりがありません。全てをお客様に伝える訳ではありませんが、なるべくその靴に携わったのであれば、責任を持って対応したいと思っています。

 

羽田野:確かに、興味はあるけどルールが分からないことがありますね。

良い組み合わせ、シーンに合わせた部材のチョイス、軽くするのか、どこを補強しておくのか、歩くことは生活と直結している部分が強いので、いくらかっこよくても、履きにくかったり、痛かったりすると履かなくなります。特に中の部分は見えないので信頼関係が大切ですね。気に入ったものだからこそ、見た目だけでなく、細かな部分にもこだわる。参考になりました。

 

 

 

FANS.浅草本店 リペア部門 鈴木悠馬氏。

定番のカカト修理やつま先補強なども難なくこなすが、

悠馬氏の強みは、修理対応の応力と歴史背景を踏まえた靴事情を周知していること。

その中でも敬愛するものがワークブーツ。

長く履き続け、足を守るという使命を持つワークブーツは、

破損箇所も多数あり、困難な修理に直面する機会も、手間もかかる。

悠馬氏は、ただ修理するだけ、ただ履き主の要望に応えるだけでなく、

履くシーンや、日頃のスタイルをヒヤリングしリソールを行う。

見た目だけでなく、内部にもこだわり、

シャンクを仕込む時も腐食しにくくなるよう、

テーピングをおこなうなど芸が細かい。

そんな丁寧な仕事が多くのブーツ愛好家の心に響いている。

 

 

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