一点物の靴べら

銀座店 2020年11月26日

皆さんこんにちは。シューケアマイスター靴磨き工房三越銀座店のナガオです。

ユニクロとジルサンダー氏のコラボ「＋J」、すごい人気でしたね。ぼくは発売初日は工房におりましたので、お店に行った友達から黒いシャツをいただきました。隠しボタンダウンのオーバーサイズシャツ、横から見た時に背中のラインがすとんと落ちるのが気に入ってます。ジルサンダーらしい縦長のシルエットなので、合わせるボトムも今風に太めを履こうと思います。

ただ…、自宅の近くのユニクロに靴下を買いに入った際、もう売り切れなのだろうと思い込んでいた＋Jのシャツなどが置いてあったのでなんだか勝手に肩透かしを食らった気分です。同じ形の色違い、青色のストライプシャツを買いました。これは仕事着として楽しもうと思っています。

さて、今回のブログでは上の話とあんまり関係がない靴べらの話をします。

皆さんは靴を脱ぎ履きする際、靴べらを使っていますか？

ぼくは使ったことはありませんでした。これまでに履いたことのある靴はスニーカーが多く、そのほかはサッカー部だった時にスパイクシューズやトレーニングシューズを履いていたくらいのもの。なので革靴などと比較するとカカトがやわらかいということもあり、履き口をつかんで足を入れ込めばあとは靴紐で調節し履くことができていたのです。

今は靴べらを使って靴を履いています。スニーカー、革靴など種類にかかわらず「靴を履くときは靴べら」です。

そして店頭にて靴べらを手に取ってご覧になるお客様にも靴べらを使って靴を履くことをおすすめしています。

それはなぜか。

靴べらで靴を履くことをおすすめする理由。

理由としてはやはり、「靴べらを使わないで靴を無理やり履き、カカトに入っている芯が曲がったり折れたりすると、修理修繕がほぼ不可能」だからです。

カカトにはその形を保つための芯材が入っており、それは構造的に靴の一番奥にあります。それを交換するとなると、靴をバラバラに分解し、また組み上げなおす必要があります。それは１から靴を作り直すようなもので、糸で縫っている部分などは縫いなおすことになるので耐久性が落ちてしまったり、履き心地が全く変わってしまったり…。

そんなことになるなら、靴べらを使って靴を履いていただいた方が安く済むうえ、自分にとって履きやすく、良い状態のまま長く愛用していただけると思います。

そしてせっかくなら長く使える靴べらを一つ持っておくと安心です。

一点物の靴べら、アビィシューホーン。

おすすめはこちらの靴べら。

【アビィシューホーン】P11　¥5500+tax

創業250年のアビィホーンワークス社の天然の水牛の角でつくられたこちらのコンパクトな靴べら。天然のものになりますので上の画像のように、一つひとつ模様や色、さらには湾曲や反り、薄さも少しだけ違っています。長さはほぼ11㎝でございますが個体差によっては少し短いものや長いものも。

同じ個体でも表と裏で模様が違います。

この靴べらが折れたり曲がったりなどということは今のところ聞いたことがございませんが、やはり無理に力を加えたり上に座ったりなどいたしますと壊れてしまう恐れがあります。

個人的な感想ですがスーツジャケットなどのポケット、バッグの中からこの靴べらをサッと出し、あくまで自然体で使っているとすごく格好いいと思います。誰も見てないかもしれない、靴を脱ぎ履きするだけの日常的なワンシーンだとしても、ちょっと格好つけて背伸びして、たまに恥をかくこともあるかもしれませんが、わざとらしいような格好良い仕草も自然とこなせる風になればこちらのものです。

一点もの、一生物の靴べらを用いて、大事な靴を長く格好良く履きませんか。