【サッカニー】加水分解しても蘇生させたいスニーカー
FANS.浅草本店のYUMA.です。
さて、本日はアメリカ生まれの「Saucony」(サッカニー)の修理事例を紹介します。
ペンシルバニア州の “ サッカニー川 ” のほとりにある工場で生産されたことから由来するそうです。
今回のペアはこちら。
一見なんともないようですが、カカト周辺をみるとソールが崩れてしまっています。
軽量で高反発なウレタンソールが「加水分解」を起こしてしまっているのです。
こうなると、加水分解した部分をバラした後、新しいパーツにすべて張り替える必要があります。
※「加水分解って何?」という方はコチラ↓
~REDWINGから加水分解を考えてみた②~なぜ加水分解を起こすのか
そして張り替えたのがこちら。
今回のようなケースにおいて、張り替えには「EVA」という、スポンジに似た加工のしやすい合成素材を用います。
「EVA」を用いる理由は、
・軽量
・クッション性
といった機能的な側面が大きいですが、それに加えて
・優れた加工性
もそのひとつです。
この、「優れた加工性」が活きる場面は様々。
例えば、どんな方にも “ 歩き癖 ” が存在し、履かれている靴には左右で異なる “ 癖 ” がついていることがほとんどです。この場合、修理屋には、 “ 生じてしまった左右差に対応したソールを形作るための調整力 ” が問われます。
ゆえに、削りやすく、微調整が効きやすい「EVA」を用いることが理に適っているのです。
もちろん、微調整を含むソール成形には相応の時間や手間もかかるのですが、それはまた別の機会に。
最近では “ ソールスワップ ” といってドナーからソールだけを取り外し、リペアする対象に移植する手法もありますが、お客様はドナー個体も用意しなければならずそのハードルは高いです。
その点「EVA」による修理なら、ローテクスニーカーっぽい見た目が気にならなければ、広い守備範囲をカバーできます。
また、今回のご依頼の際も
「見た目がかなり変わってしまいます」というお伝えに加え、
「せっかくなら色変えて遊んでみますか?」ともご案内しました。
というのも、「EVA」には今回の修理で用いた “ 白 ” 以外にも、いくつかの色展開があります。
そのため、組み合わせ次第では、購入当初とは異なるオリジナルの配色に仕上げることが可能です。
ちなみに今回は
ウェッジ[白] + ミッドソール[ライトグレー] + アウトソール[黒]
この配色で仕上げてみました。
アッパーにもグレーが入っていますので、違和感なく馴染んでいます。
(カメラの明るさをミスって色が飛んでしまったのが悔やまれる涙)
「EVA」の欠点はウレタン素材に比べると若干硬いこと。
それでも歩きやすいように、
・トー(つま先)
・ヒール(カカト)
に、それぞれスプリング加工(底面に丸みをつけて歩行をアシストする)を施しています。
お客様に気に入っていただけて良かったです。
皆様のご来店・ご依頼もお待ちしております。
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