【REDWING8826】アウティングブーツを雪国でも履きたい
FANS.浅草本店のYUMA.です。
「REDWING アウティングブーツ8826」
元REDWING JAPAN代表・鈴木理也さん が在籍していた頃、
20世紀前半の意匠を意識したモデルをいくつかリリースした「REDWING」。
その中でもひときわ異彩を放ち、”玄人好み”と言って間違いないのがこのアウティングブーツです。
スニーカーが登場する前の時代、
スポーツ用の履き物として親しまれていたものを現代に蘇らせたこのモデル。
“ スポーツ ” といってもオリンピックで行われているような競技ではなく、
趣味としてのハンティングやハイキングなどのアウトドアスポーツのことです。
今風に言えば “ アクティビティ ” というニュアンスに近いかもしれません。
1920年代のアメリカ合衆国はアラスカやハワイ以外のほとんどの州※が加盟し、
イギリスから独立以後、広大な領地を有していました。(※アラスカ、ハワイは当時準州)
都市部は人口が増加し”狂乱の20年代”とも呼ばれていたものの、
ひとたび郊外に出ればアメリカ大陸の雄大な自然が広がっていました。
開拓や入植によって居住地を拡げてきた人々は、まだまだ自然の中で暮らしていたのです。
物流や通信はある程度存在していたにせよ、身近な自然の中から娯楽を見出そうとしたのも頷ける話。
こういった活動的なコンセプトから生まれたモデルがこのアウティングブーツなのです。
お預かりさせて頂いた一足は、元々はグロコードソールを搭載していました。
今回はこちらのソールをカスタマイズさせていただきました。
お客様よりいただいたご要望は以下の2つ。
① 軽量&クッション性&ボリューム感を兼ね備えた素材
② 寒冷地でのグリップ力



そしてできあがったのがこちら。
純正のスポーティな雰囲気から「アスレチック成分」を抜いて「ハンティング成分」を増やしています。
同じ「REDWING」の “ 875 ” や “ 877 ” に通ずる、ウェッジソールタイプに変更いたしました。
“ ウェッジソール ” とは、ミッドソールに接着された船底型のクッション部分のこと。
今回は、これにVibram社の最軽量配合「モルフレックス」を採用いたしました。

さらに土ふまず部分がくびれているので、
トラクショントレッド系のハンティングブーツよりも軽快な見た目に。
ミッドソールにはレザーを使用。
光沢感と透明感を強くし、カジュアルになりすぎないように仕上げることで、
アッパーの華奢なシルエットを損なわないように気をつけました。
これで①軽量&クッション性&ボリューム感を兼ね備えた素材はクリアです。
次は②寒冷地でのグリップ力です。

底面には「Vibram プルリボールICE」を採用しました。
非常に高いグリップ性能を持つラバー素材ですが、特に湿潤の路面でもイケる頼もしいやつ。
「ラバーソールは滑らない」といくら言われていても、濡れた路面だと一気にグリップを失うソールもある中でVibram社の本気を感じられるのが、このプルリボールです。

卓球のラケットみたいな粒々がグニっと地面を掴みます。
欠点はイマイチ知名度がないこと。あと、高級ラバーなので少しお高め。
そのせいか取り扱ってる修理屋さんは少ない印象です。
ですが、その分のスペックは保証します。
そしてもうお気づきでしょうが名前には「ICE」の文字が……。
そう、プルリボールの寒冷地仕様となった素材なのです。
一般的にラバーは暑くなると軟化します。
炎天下のアスファルトでクレープソールが “ ネチャ ” っと張り付く体験をされた方も少なくないはず。
一方で冷えたラバーは硬くなり、グリップ力を失います。
しかし、プルリボールICEは-20℃でも性能が落ちない寒冷地特化型の配合となっています。
かてて加えて、ミッドソールに採用した前述の「モルフレックス」も、実は低温下に強いという隠れたスペックを有しています。
そのため、雪国でも安心。
冬のコーディネイトを文字通り支えてくれるクールな仕様に仕上がったのです。

余談ですがアウティングブーツは土ふまずが非常に細くなっていますね。
フィニッシャー(グラインダーのように削る製靴用機械)でソールの成型をしてると、
プーリーがふまずのかげに隠れてしまいます。
このナローシルエットが、人気の秘訣なのでしょうか。
とても魅力的なプロダクトだからこそ、廃盤になってしまって惜しい。。。
いつかまた復刻されることを願っています。
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