【アウトソール】メスチャネルってつまり何?の話【ヒドゥンとオープンの間】その1
FANS.浅草本店のYUMA.です。
今日のテーマはタイトルにある通りズバリ
「メスチャネル」
のお話しでございます。
フランスのJM ウエストンやイタリア靴によく採用されている仕様です。
まずは主役であるメスチャネルを紹介。
サントーニの靴底ですが、よくある見慣れた靴底とちょこっと違うのにお気づきになりますか?
コバからちょっぴり内側に注目。ほそーいスリットが見えますね。
これがメスチャネルなんです。
では、メスチャネルの説明をするにあたり、先に「チャネル」の説明をいたします。
そもそも、ソールには「ダシ縫い」というステッチがかけられていて、それがアッパーとソールを繋いでいます。
ただダシ縫いはソールが摩耗すると糸が切れてしまいます。
それを緩和するために糸を埋没させる溝を掘るのですが、その溝のことを
「チャネル」とよびます。
マーケティング用語では流通経路を指しますが、要はトンネル、道ということですな。
ステッチが通る道、それがチャネル。
チャネルにはいくつか種類があります。
まずはポピュラーなオープンチャネル。
白い糸が溝の中におさまっていて、糸自体が目視できます。
お次はヒドゥンチャネル。
完全に縫い目が見えません。でもソール内部で縫っています。
(詳しくはまたの機会に)
そして冒頭のメスチャネル。
それではなぜ”メス”と言うのか。
ほかのふたつとはどう違うのか。
お話ししていきます。
まずは「メス」というワード。これはお医者さんが使う道具から由来しています。
そう、天才白黒外科医がコートの内側に大量所持していて、悪漢と出くわした時にブン投げるやつです。
つまりメスチャネルはメス(鋭利な刃物)で道(チャネル)を作る仕様のことなのです。
ヒドゥンもオープンも革を掘ってチャネルを作るのに対して、メスは切り込みをいれてできた隙間に糸を縫い込んでいきます。
製造においてはダシ縫いミシンとセットになっており、縫いをかけるミシン針に先行して靴底に切れ目を入れていきます。
そうしてできた切れ目に針を落として縫っていくのです。
ちなみに宮城興業では「メス」ではなく「ファンジ」と呼ぶそうです。
荒井さんにその理由をきいたところ、
「なんか知んないけどそう呼んでんだよねー」
とのこと。
さらに、ファンジ仕様の中でもちょい糸が見えてる浅いチャネルを「半ファンジ」と呼ぶそうです。
このマグナーニなんかは半ファンジってとこですかね。
では次回は後編。
実際にメスチャネルの修理工程をご紹介します!
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